「マネー避難」まとめ(ソース付)
藤巻健史さんの「マネー避難」の読書メモ。最初の数字関連はソースをリンクしてみた。本書はこれまでの藤巻さんの書籍とはちょっと違い、震災を受けて「リスク管理」について重きを置いた内容になっている。
目次
- 財政赤字はこれだけヤバイ
- 震災による影響
- これからの日本の予想
- 資産防衛法
財政赤字はこれだけヤバイ
2011年の3月末で累積赤字は924兆円と巨大なものになりました。
国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(平成23年3月末現在)より、国の借金は約924兆円は間違いない。もうすぐ大台に乗りそうな勢い。
2011年度の歳入は予算段階で48兆円です。それなのに歳出として92兆円も使おうとしています。
日本の財政関係資料平成23年度予算補足資料(※PDFにつき注意)より、一般会計の歳入の5割弱は借金で賄っているがわかる。税収は半分以下という事実。一方、歳出の4割が社会保障関係費、2割が借金返済。社会保障の話は特別会計とセットだと思うが、本書で取り上げられていないので省略。
ということで、自転車操業もいいところ。消費税の増税議論も出ているが、焼け石に水と思われる。
消費税は1%あたり2.5兆円だからです。
この数字が本当か調べていたら、ちょうどいい記事を発見。
消費税と税収の関係をグラフ化してみる
これを見る限り、ここ数年の消費税による税収は10兆円前後なので、1%あたり2兆円が妥当。消費税が3%の時の消費税による税収も5兆円台後半なので、まぁまぁ一致している。
震災による影響
震災がなくてもまずい状況だったが、震災でさらに状況が悪化。
震災復興による負担増
内閣府の推計が出て、自信や津波の被害額は16兆円〜25兆円ということになっています。ただこれは、道路や住宅、工場などに限った数字で、原発関連費用としてさらに莫大な被害額が上乗せされるでしょう。
東日本大震災における被害額の推計について(※PDFにつき注意)
消費の冷え込み
実体験をしているからわかるように、震災による自粛の影響も大きい。
これからの日本の予想
日本の財政状況と、震災による影響を踏まえて、今後日本で起こりうる事態について記載。
電気料金の値上げ
電力使用制限令を政府が発動しようが、しまいが、今後、電気料の大幅値上げが起こると私は思っています。
原子力発電からシフトすることを想定すると、火力発電に頼らざるをえない。しかし火力発電に必要な燃料の価格は上昇傾向になるため、火力発電ではコスト増が見込まれる。
国債の暴落
日本が信認を失った時、外国人が逃げるだけならまだいいのですが、彼らはそれ以上に、日本市場で国債の売り浴びせをしてくると思います。
先物は売りから入ることもできるため、国債の日銀引き受け等をきっかけに国債の売り浴びせが起こり、国債が暴落する可能性がある。
円が暴落(円安)
現在の為替レートとは全く逆のことを言っているが、藤巻さんの持論なのでブレない。円安を予想する理由は3点。
大幅な円安が進むと思う理由の第一は、他国との金利差が拡大しそうだからです。
大幅な円安が進むと思う2番目の理由は、貿易黒字が大幅に減少すると思われるからです。
大幅な円安が進むと思う3番目の理由は、「日本の国力がこの震災でガクンと落ちる」と予想されるからです。
資産防衛法
想定される事態に備え、いかにして自分の資産を守るか。
タンス預金、銀行預金、不動産も危険
タンス預金は津波で流されたらパー、銀行預金はインフレで価値が下がる。不動産も震災で財産価値がなくなる可能性もある。絶対安全な資産など存在せず、分散して管理することこそがリスク回避策。この項目は藤巻さん自身の実体験が描かれており、非常に印象的。