ポッドキャストの有料化の話

ポッドキャスト配信が有料になりつつある点についてつれづれと。

「ヴォイニッチの科学書」が有料化

くりらじのポッドキャスト番組の1つ「週刊netreport」の2009年5月3日配信回で、「ヴォイニッチの科学書」が有料配信になると発表。
詳細はヴォイニッチの科学書のHPと、該当の週刊netreportを聴けばわかるが、より品質の高い番組制作をするために、広告収入とは異なる収入源を確保することが目的のようだ。有料化開始は5月下旬で、FeBe!を利用して課金するらしい。

有料化されたポッドキャスト番組

この他、自分が知っている有料配信になったポッドキャスト番組は「聴く日経」、「和島英樹のウィークエンド株!*1である。これらの番組は同じくFeBe!を通じて、月額500円程度で聴くことができる。

また、「伊藤洋一のRound Up World Now!」も一度有料配信を検討したが、有料化の見送りを発表している。ちなみに現在は配信停止中である。

有料化されて聴くのか?

聴く日経、ウィークエンド株、Round Up World Now、そして今回のヴォイニッチはどれもお気に入りの番組だった。しかし聴く日経とウィークエンド株は有料化されてから聴かなくなった。理由はシンプルで、お金を払ってまで聴きたいと思わなかったからである。そしてヴォイニッチに関しても、価格にもよるが、このままだと聴かなくなると思う。

有料化されても聴きたくなる番組制作

既存のリスナーの立場から考えて、これまで無料で聴けていたものが有料になった際、なんらかのハードルが生じる。そのハードルを越える「何か」がない限り、聴けなくなったらそのまま聴かなくなるであろう。有料化によってリスナーに何らかのメリットがあるか、またそのメリットを明確に示しているかが重要だと思う。これまでの有料化された番組は「有料化するからお金払って聴いてね」というメッセージしか示されておらず、リスナーにネガティブな印象を与えている。有料化されることでリスナーにどんなメリットがあるのかを明確に示すことが、有料化されてもリスナーを確保するポイントだと考える。下記、各番組の有料化に対して感じた印象である。

聴く日経

有料化に伴うリスナーのメリットがない、もしくは示されていない。ただ、毎日配信されて525円というコストパフォーマンスに魅力を感じるため、有料化のハードルが元々低いのではないかと思う。

ウィークエンド株

有料化に伴うリスナーのメリットが明確に示されていない。おそらく補足資料のダウンロードが新たに付加された価値なのかもしれないが、有料化前からチャート画像は番組ホームページに掲載されていたので、付加価値としては低い。

ヴォイニッチの科学書

メールマガジンの「ヴォイニッチの科学書プレミアム」を付加価値として提供する予定。まだ有料配信の価格が決まっていないので評価できないが、メールマガジンが月額368円であることから、500円程度であればリスナーも納得するのではないか。

新規のリスナーをどうやって獲得するか

既存のリスナーには上記のアプローチで確保できるが、新規リスナーをどうやって獲得するかが今後の課題であると言える。現時点でFeBe!では番組のサンプル配信を行っておらず、新規のリスナーに対するハードルが非常に高くなっている。この問題をどう解決するかが、今後の課題であると言える。

最後に

ポッドキャストの有料化は、広告収入に依存しない新たな収入源となりうる。このビジネスモデルが確立されるかどうか、今後の動向を見続けたい。

*1:「株」と書いて「ストック」と読むらしい